玄人好み 吉川大幾選手

名門PL学園出身、かつてあの立浪二世と呼ばれた男は、渋い野球選手として巨人ベンチを温めています。いぶし銀と言われた寺内崇幸よりもさらに渋く男、それが吉川大幾です。

エリート街道を歩み、鳴り物入りで野球界に姿を表しました。しかし、多くの人に吉川の名を聞いても彼を連想する人はほとんどいないでしょう。

現に巨人には吉川が3人います。

一人目は吉川光夫、日ハム時代にパリーグMVPを取った実績ある投手です。2018年後半戦は少しずつ調子を上げてきています。

二人目は吉川尚輝、巨人の2016年ドラフト1位、巨人軍期待の新星です。現在は怪我で戦線離脱中ですが、仁志敏久以来となる巨人軍の正二塁手候補の最右翼です。

そして最後、吉川大幾。目立った成績面での活躍はこれまでにありません。昨年は怪我にも泣かされ出場なし。しかし、今年は彼のキャリアで一番多く出場し、存在感を示しています。両打な上に、ほぼ全てのポジションを守ることが出来る。今の巨人では打撃優先の采配が振るわれ、打つことが出来なければ次々と入れ替えの対象となるが、彼は打たずとも一軍のベンチを温めます。彼にしか出来ない役割があるからに他ありません。

少し前にもそんな選手が巨人にはいました。その名は走塁のスペシャリスト・鈴木尚広。彼の場合は代走という彼にしか出来ない役割に徹することで、細く長く巨人軍のベンチを温め続けました。巨人のベンチでのスペシャリストは出場時間こそ少ないものの、長い間巨人ベンチを支えてきました。

鈴木とはまた違いますが、吉川は”吉川大幾”という役割に徹しています。吉川尚、山本、田中俊などの若手の台頭に加え、マギーを二塁に置く攻撃的布陣が組まれる中、その役割を担える選手は吉川大幾しかいません。だからこそ、常に一軍に帯同し、常に出番に備えています。

華やかに活躍する選手がノビノビ全力でプレー出来る裏側には、渋くもそのバックアップが出来る吉川大幾という男の存在がありました。